2014年2月2日日曜日

心機能について思うこと(10)~若き循環器医へ~


今日はloading sequenceという少しマニアックな話をします。

 

反射波の左室に対する影響ってご存知ですか?左室から駆出された血液の波動は、主にbifurcationのところで跳ね返ってきて、左室の拡張期に大動脈弁に到達します。末梢血管が強く締まった状態や、大動脈の動脈硬化で大動脈コンプライアンスが低下し、収縮末期に左室に波動が帰ってきます。左室は収縮を終わろうとしているのに、波動が帰ってくるため、収縮時間が延びてしまい、鏡面像である拡張時間も延びます。すなわち、左室弛緩の延長が起こるわけです。

 

 

専門用語でいうと、左心室の収縮のパワーがearly systoleからlate systoleに移動し、左室弛緩が延長します。この左室の駆出様式の変化をloading sequenceの変化と言います。左室の弛緩が延長するだけではなく、左室の収縮は等容性収縮期にエネルギーが規定されているため、収縮後期にパワーがいると、かなりエネルギー効率が悪くなります。Loading sequenceの増悪に影響を与える因子は、左室収縮力の低下、末梢血管抵抗の増大、大動脈コンプライアンスの低下、大動脈の長径が短いこと、心拍数の低下が当てはまります。これって、高齢女性の拡張不全のprofileに似ていませんか?これを大動脈側から見た概念が中心血圧です。我々は左室側から見ますけどね。

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