右室に関して補足します。元々両生類は1心室2心房、すなわち左室が肺循環、体循環をまかなっていたわけです。なぜ可能か?それは体循環圧すなわち血圧が低いからです。身体を大きくしたり、地上から高い位置に身体を起こすためには、あるいは空を飛ぶためには高圧系が必要である。しかし、肺胞が高圧にさらされると、ガス交換に障害が生じる。太い血管にすると弾力性が損なわれ、臓器損傷が起こりやすいといったことから。何よりも肺循環系が高圧になると静脈還流圧が高くなりすぎて、心室がその負荷に耐えられえない。そこで、高圧系と低圧系と分離されたわけです。
両生類は、低圧系であったため心室壁がうすいため、心室内腔からの直接潅流で補えるため、冠動脈はありません。しかし、高圧系になると冠動脈が必要となります。大動脈から末梢ではなく、心臓の末梢から冠動脈は伸びて大動脈に繋がるといった発生形式からもわかります。ですから、低圧系の右冠動脈は、左冠動脈に比べてシンプルですよね。容積は同じはずであるのに。
このように、右室は低圧系であります。ですから、心室圧容積関係も右室と左室では大きく異なります。ここで、面白いのは、この傾きが異なるといったことより、容積を減らしていった時のV0という容積切片が0になる地点、肺でいうと残気量のようなところが右室ではかなり左、すなわち0mlに近いところにあるという点です。左室も右室も理論的には容積は同じはずです。
何が言いたいかというと、測定方法の問題で我々が思っているよりも右室のeffective
volumeは大きいか、あるいは右室は定常状態においても左室に比べ負荷がかかっているかということです。右室は壁応力を逃す自由度、そのコンプライアンスが重要な因子だと思います。左室にstroke
volumeを送るために容量を変幻自在に変えている。そのリミッターとなっているのが機能的三尖弁閉鎖不全症かもしれません。
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